AIで自分は速くなったのに、チームが速くならない理由と対策|止まるのは「人と人の間」。確認待ちと情報探しを減らす4つの方法

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AIで自分の作業は速くなったのに、チームの仕事が速くならないのは、仕事が止まる場所が個人の作業ではなく「人と人の間」にあるからです。返事や承認を待つ時間、情報や経緯を探す時間、引き継ぎと説明の時間を減らさない限り、個人がいくら速くなってもチームの速さは変わりません。

要点

  • チーム向けAIエージェントを提供するTANKA Japanの調査(2026年10月、生成AIを業務で使う500人)では、60.0%が「自分は速くなったが、チーム全体はあまり速くなっていない」と感じています
  • 同じ調査で、仕事が止まる最大の原因に「待つ・探す・説明する・引き継ぐ」の4項目を選んだ人は71.0%でした。「自分の作業そのもの」は21.4%です
  • 原因の一つは、AIの成果が個人のチャットの中に閉じていることです。仕組みとして共有している人は24.0%でした
  • 対策は4つです。仕事の目的・担当・経緯を1か所に置く、確認する人と場所を先に決める、AIの成果をチームの記録に戻す、会議の決定事項をその場で担当者のToDoにする

AIで「自分は速くなった」のに、チームは速くならない

資料の下書きも、メールの文面も、AIに頼めば数分でできるようになった。それなのに、案件が終わるまでの日数は前と変わらない。この感覚は、調査の数字にも出ています。

チーム向けAIエージェント「TANKA」を提供するTANKA Japanが、2026年10月22日に「中小企業の生成AI業務活用実態調査」の結果を発表しました(報道:TECH+)。調査は2026年10月16日〜19日にインターネットで行われ、従業員100人未満の国内企業に勤め、業務で生成AIを使っている500人が答えています。500人の回答を集めた調査で、500社を単位にした企業調査ではありません(白書の案内ページの注記)。

数字何の数字か
64.2%生成AIで自分の作業が速くなった人
51.8%チーム(部署)全体の仕事が速くなった人
38.8%チーム全体の仕事の速さは変わらない人
60.0%自分は速くなったが、チーム全体はあまり速くなっていないと感じる人

自分の作業が速くなった人は64.2%(かなり16.6%、やや47.6%)でしたが、チーム全体では51.8%にとどまり、38.8%は「変わらない」と答えています。個人とチームの差を直接聞いた設問では、60.0%が「とても」または「やや」感じると答えました。

この差は、AIの性能の問題ではありません。AIが速くしたのは一人ひとりの作業で、チームの仕事はその作業と作業のあいだでも止まっているからです。

止まるのは「人と人の間」:待つ・探す・説明する・引き継ぐ

同じ調査で、仕事が止まったり遅れたりするときの最大の原因を聞くと、「自分の作業そのものに時間がかかる」は21.4%でした。残りの多くは、人と人の間で起きるものです。

図:仕事が止まる場所。AIで速くなったのは一人ひとりの作業で、仕事が止まる最大の原因に「自分の作業そのもの」を選んだ人は21.4%。返事・確認・承認を待つ(28.2%)、情報や経緯を探す(23.6%)、背景を説明する、担当を引き継ぐ、の人と人の間の4項目を選んだ人は合わせて71.0%だった(TANKA Japanの調査、2026年10月、500人)

原因最大の原因に選んだ人
他の人の返事・確認・承認待ち28.2%
必要な情報や過去の経緯探し23.6%
自分の作業そのもの21.4%
待つ・探す・説明する・引き継ぐの4項目の合計71.0%

時間でも見てみます。同僚への確認や背景の説明、社内の情報や過去の経緯探しに1日1時間以上を使う人は44.0%で、30分以上まで含めると67.6%でした。生成AIを使っていても時間を取られている業務(複数回答)では、「上司や関係者の確認・承認待ち」32.0%、「引き継ぎ」23.6%、「同僚への説明・背景の共有」21.8%が上位に来ています。

返事・確認・承認待ち(28.2%)

AIで提案書の下書きが10分でできても、上司の確認が2日後なら、仕事は2日止まります。待ちが長くなる理由は、だいたい次のどれかです。誰が確認するのか決まっていない。何を見ればよいのか確認する人に伝わっていない。確認が要らない作業まで承認に回っている。

情報と経緯探し(23.6%)

「前にこの取引先と何を決めたか」「この資料の最新版はどこか」を探す時間です。情報がチャット・メール・個人のフォルダに分かれていると、探す人は知っていそうな人に聞きます。聞かれた人の手も止まるので、1件の探しものが2人分の時間になります。

引き継ぎと背景説明(担当者が休むと止まる仕事58.6%)

「担当者が休む・辞めると止まってしまう仕事」があると答えた人は58.6%(多くある13.0%、いくつかある45.6%)でした。経緯がその人の頭とチャットの中にしかないと、引き継ぐたびに一から説明が要ります。属人化そのものの減らし方は、属人化をAIで解消する方法でくわしく扱っています。

なぜAIで個人を速くしても解決しないのか:成果が個人の中に閉じている

AIを使うほど、この「人と人の間」が広がることもあります。AIとのやり取りは、ふつう個人のチャットの中で進むからです。

同じ調査では、生成AIで作った資料や、AIに入力・整理した経緯や決定事項を、チームで「仕組みとして共有している」人は24.0%でした。「個人的に、たまに共有」が40.6%、「ほとんど/全く共有していない」が35.4%です。また、使っている生成AIがチームの事情(誰が何を担当しているか、案件の経緯、過去に決まったこと)を「ほとんど/全く知らない」と答えた人は39.2%でした。

こうなると、次のことが起きます。

  1. AさんがAIと詰めた方針は、Aさんのチャットの中にある
  2. Bさんは、その方針を知らないまま、自分のAIに同じことを一から聞く
  3. Aさんが休むと、方針が分かる人がいなくなる

利用の形も関係します。「会社が契約し、チームの全員が使える」形は27.4%で、「ルールはなく自分の判断で使っている」35.6%と「禁止されているが使っている」3.6%を合わせると、39.2%が会社の管理が及ばない形でした。チームでAIを活かすうえでの壁(複数回答)でも、「情報が個人のPCや個人のAIの中に閉じている」22.4%、「AIがチームの背景や経緯を知らない」20.2%が挙がっています。

AIの導入そのものが進まない場合の話は生成AIの社内活用が進まない理由と立て直し方に、AIの出力を確かめて直す手間の話はAIの確認・修正の手間(検証労働)を減らす方法にまとめました。この記事では、AIを使い始めた後の「人どうしの待ち・探し・引き継ぎ」を扱います。

対策1:仕事の目的・担当・経緯を1か所に置く

最初に減らすのは、探す時間です。仕事ごとに、次の4つを決まった1か所に書きます。

書くもの中身の例
目的何のための仕事か、どうなれば終わりか
担当誰が進め、誰が確認するか
経緯これまで決めたこと、やめた案と理由
現在地どこまで進んだか、資料のありか

ポイントは「仕事ごとに」置くことです。部署のWikiやチャンネルにまとめて書くと、どの話がどの案件のものか分からなくなり、結局探すことになります。案件・プロジェクト・目標の単位でページを分け、その仕事の話はそこに寄せます。

1か所にあれば、人に聞く前にそこを見ればよくなります。AIにも、説明を貼る代わりにそのページを読ませれば済みます。AIへの文脈の渡し方はClaude Code・Codexに会社の文脈を渡す方法にくわしく書いています。

対策2:確認する人と、確認する場所を先に決める

次は、待つ時間です。仕事を始めるときに、誰が・何を・いつまでに確認するかを決めておきます。

図:確認待ちを減らす4つの決めごと。確認する人を1人に決める、見てほしい点を添える、承認は取り消しにくい所だけにする、返事の期限を決める。社外への送信・公開・支払い・完了は人が確かめ、社内の下書きや途中のメモは承認に回さない

  1. 確認する人を1人に決める。 「関係者に見てもらう」だと、誰も見ないか、全員が少しずつ直して長引きます
  2. 何を見てほしいかを添える。 「数字の出典と宛先だけ見てください」と書けば、確認は数分で済みます
  3. 確認が要るのは、取り消しにくい所だけにする。 社外への送信、公開、支払い、仕事の完了などです。社内の下書きや途中のメモまで承認に回さないようにします
  4. 期限を決める。 「明日の15時までに返事がなければ進めます」と書いておくと、待ちが際限なく延びません

AIに下書きを頼むときも、「確認してほしい点を3つまでにまとめて」と一言足しておくと、確認する人はその一覧を読むだけで済みます。どこまでをAIに任せ、どこで人が承認するかの線引きは、中小企業のためのAIエージェントの権限・承認ルールの決め方にまとめています。

対策3:AIの成果を、個人のチャットではなくチームの記録に戻す

3つ目は、引き継ぎと説明の時間です。AIと作った資料、AIと決めた方針、AIが調べて分かったことを、その仕事のページに戻します。

続けるコツは、戻すことをAIへの依頼に含めてしまうことです。

この案件の提案書の下書きを作って。
終わったら、決めたことと、
作った資料の場所と、
まだ決まっていないことを、
案件のページに書き足して。

こうしておけば、担当者が休んでも、別の人が案件のページを読めば続きが分かります。別の人のAIも、同じページを読んで続きから始められます。人に「あれどうなった?」と聞く回数が減り、聞かれる側の手も止まりません。

対策4:会議の決定事項と宿題を、その場で担当者のToDoにする

会議は、「人と人の間」の仕事がいちばん集まる場所です。会議で決まったことが議事録の中に残ったままだと、宿題が抜け、次の会議で「あれはどうなった?」の確認が始まります。

同じ調査で、チームの経緯や担当を理解したうえで仕事を進めるAIに任せたい業務(複数回答)を聞くと、1位は「議事録と決定事項・宿題の整理」39.6%でした。「引き継ぎ・担当者不在時の対応」28.4%、「進捗の確認・催促」27.8%が続きます。なお、こうしたAIを「使ってみたい」と答えた76.2%は、「条件が合えば使ってみたい」59.0%が中心で、購入の意向を聞いた数字ではありません。

やることは3つです。

  1. 会議の記録(文字起こしか議事録)を残す
  2. 会議の後、記録から「誰が・何を・いつまでに」を拾い、担当者ごとのToDoにする
  3. ToDoに、元になった会議と、何が終われば完了かを書いておく

2はAIに任せられます。拾った宿題が担当者のToDoになっていれば、次の会議は「前回の宿題は終わったか」の確認から始められます。議事録からタスクを作る方法の比べ方は、議事録からタスクを自動化する方法にまとめています。

小さく始める順番:困っている仕事を1つ選ぶ

4つを一度に全部の仕事でやる必要はありません。次の順で、1つの仕事から始めます。

図:小さく始める4つの手順。担当者が休むと止まる仕事を1つ選ぶ。その仕事の目的・担当・経緯・現在地を1か所に書く。確認と記録の場所を決め、AIの成果と会議の宿題をそこに戻す。2〜4週間後に、人に聞いた回数・待った日数・ほかの人が続きを進められたかを振り返る

  1. 「担当者が休むと止まる仕事」を1つ選ぶ。 確認待ちや問い合わせが多い仕事ほど効果が見えやすくなります
  2. その仕事の目的・担当・経緯を1か所に書く(対策1)
  3. 確認する人と場所を決め、AIの成果と会議の宿題をそこに戻す(対策2〜4)
  4. 2〜4週間後に振り返る。 「人に聞いた回数」「返事を待った日数」「担当者以外が続きを進められたか」を、始める前と比べます

ここで測るものは、作業の速さではなく、待った時間と探した時間です。個人の速さはもうAIで上がっているので、チームで見るべきはそのあいだの時間です。うまくいったら、同じやり方を次の仕事に広げます。

Addnessでのやり方

Addness(アドネス)は、会社のゴールとToDoを1つのゴールツリーで持ち、人とClaude CodeやCodexなどのAIエージェントが同じゴールを読み書きできるサービスです。上の4つの対策を、次のように進めます。

1. 仕事をゴールにし、目的と経緯を書く(対策1)

選んだ仕事を1つゴールにし、「理想」にどうなれば終わりか、「メモ」に経緯や決まりごとを書きます。担当者もゴールに付けます。仕事の話はゴールのコメントに寄せると、やり取りがそのまま経緯として残ります。くわしくはゴール・タスク・KPIの機能紹介にあります。

2. 「AIに依頼する」で渡し、人が確かめる(対策2)

ゴール行の「…」を開いて「AIに依頼する」を押すと、そのゴールのURLと進め方が入った指示文ができ、Claude CodeやCodexで開けます。どのAIから使っても、つながる先は同じゴールツリーです。AIが進め、確かめて完了を決めるのは人です(AIエージェント接続(MCP)の機能紹介)。

このゴールを進めて。
社外への送信と完了の前は止めて、
確認してほしい点を3つまでにまとめて
担当者に見せて。

3. AIの成果はゴールに残る(対策3)

AIがそのゴールで作業すると、決めたこと・作ったもの・分かったことがAIメモリに自動で残ります。担当者が休んでも、別の人や別の人のAIが同じゴールを開けば、続きから始められます。

4. 会議の宿題をToDoにする(対策4)

Google MeetやZoomの会議URLを渡すと、Addnessの議事録Botが会議に参加し、文字起こしの議事録を選んだゴールに保存します(議事録Botの機能紹介)。会議の後にAIへ一言頼めば、議事録から宿題を拾って担当者ごとのToDoにできます。

ADDNESS Inc.の社内では、約40分の会議のあと、AIに一言頼むだけで、文字起こしから宿題10件と、その場で時間が決まった打ち合わせ2件が、それぞれの担当者のToDoになりました。誰の宿題か決まらなかった1件は、ToDoに入れずに外しています(「会議からのToDo出しをAIで自動化!【Addness使いこなし事例 vol.11】」。自社の記事です)。

見える範囲と権限

AIが確認・操作できるのは、接続済みで閲覧・編集を許可された情報の範囲で、AIの操作は操作した本人の権限の範囲に限られます。ゴールの更新や担当変更、社外への送信、完了などは、内容を確かめてから行います。データの扱いはセキュリティのページにまとめています。

よくある質問

AIで個人の作業が速くなっても、チームが速くならないのはなぜですか?

仕事が止まる場所が、個人の作業ではなく人と人の間にあるからです。TANKA Japanの調査(2026年10月、生成AIを業務で使う500人)では、仕事が止まる最大の原因に、待つ・探す・説明する・引き継ぐの4項目を選んだ人が71.0%でした。自分の作業そのものは21.4%です。

AIの成果をチームで共有するにはどうすればいいですか?

AIと作った資料や決めたことを、個人のチャットに残さず、その仕事のページ(案件やゴールのページ)に戻します。戻すことをAIへの依頼文に含めておくと続けやすくなります。同じ調査で「仕組みとして共有」できている人は24.0%でした。

確認・承認待ちを減らすにはどうすればいいですか?

仕事を始めるときに、誰が・何を・いつまでに確認するかを決めます。確認する人は1人にし、見てほしい点を添えます。社外への送信や公開、完了など取り消しにくい所だけを承認に回し、社内の下書きまで回さないことも大切です。

まず何から始めればいいですか?

「担当者が休むと止まる仕事」を1つ選び、その仕事の目的・担当・経緯を1か所にまとめます。2〜4週間後に、人に聞いた回数や返事を待った日数が減ったかを振り返り、うまくいったら次の仕事に広げます。

Addnessではどうやりますか?

仕事をゴールにして目的と経緯を書き、「AIに依頼する」でAIに渡します。AIの作業で決まったことや作ったものはゴールのAIメモリに残り、会議の決定事項は議事録Botの記録から担当者のToDoにできます。確かめて完了を決めるのは人です。

次にやること

担当者が休むと止まる仕事を1つ選び、ゴールに置いてみてください。アカウントを作り、ゴールを置いてAIをつなぐまでの流れははじめ方にあります。

どの仕事から始めればよいか迷う場合は、無料の導入支援でご相談ください。申し込みは相談フォームからです。

この記事を書いた人

アドネス株式会社 マーケティング 竹内翼

Addnessのマーケティング責任者。150人規模の会社で人事責任者も務めました。