KPIツリーとは?作り方と業種別の例|KGI・KSF・KPIの分け方

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KPIツリーとは、最終的に達成したい数字(KGI)を一番上に置き、それを決める数字(KPI)を「売上 = 客数 × 客単価」のような式で分けて、木の形に並べた図です。どの数字を動かせば上の数字が動くかが、ひと目で分かるようになります。

要点

  • KPIツリーは「KGIを1つ決める → 成否を分ける要因(KSF)を選ぶ → 式で分解する → 現場が動かせる数字まで下ろす」の順に作ります。
  • 分けるときは掛け算か足し算でつなぎ、単位をそろえ、同じ数字を2つの枝で数えないようにします。
  • 式でつながらない数字は「影響する関係」として分けて置くと、ツリーが崩れません。
  • 数字ごとに数え方と取り方を決めておくと、作ったあとに数字がずれません。

この記事では、KPIツリーの作り方を手順に沿って説明し、売上・法人営業・EC・SaaS・飲食店・採用の例を式で示します。例の数字や式はすべて説明用の架空のものです。後半では、Addness(アドネス)のKPIツリー機能で同じものを作るやり方も紹介します。

KGI・KSF・KPIの違い

KPIツリーには、3つの言葉が出てきます。順番は「KGI → KSF → KPI」で、上から下へ決めていきます。

言葉正式名と訳役割例(架空)
KGIKey Goal Indicator(重要目標達成指標)最終的にたどり着きたい数字。期限と数値で決める今期の売上
KSFKey Success Factor(重要成功要因)KGIを達成するうえで、成否を分ける要因。言葉で書く「既存のお客さまの継続を増やす」
KPIKey Performance Indicator(重要業績評価指標)KSFが進んでいるかを測る途中の数字継続率、解約数

KGIは「どこまで行くか」、KSFは「何で勝つか」、KPIは「今どこまで来たか」を表します。KSFはCSF(Critical Success Factor)と呼ばれることもあり、意味はほぼ同じです。

KSFを飛ばして、いきなりKGIを細かく分ける作り方もあります。ただ、式で分けられる要素は1つのKGIからいくつも出てくるので、そのすべてを同じ力で追うと手が回りません。「今期はどこで勝負するか」をKSFとして先に決めておくと、ツリーのどの枝を深く掘るかが決まります。

KPIツリーとロジックツリーの違い

ロジックツリーは、問題や原因を言葉で分けていく考え方の道具です。KPIツリーはその一種で、枝のひとつひとつが「測れる数字」になっていて、親と子が式でつながっている点が違います。言葉で分けたロジックツリーを先に作り、測れる数字に置き換えたものがKPIツリーになる、と考えると作りやすくなります。

KPIツリーの作り方(6つの手順)

手順やること決まるもの
1KGIを1つ決める期限・数値・数え方
2KSFを選ぶどの枝を深く掘るか
3式で分解する親と子の関係(掛け算・足し算)
4動かせる数字まで下ろす現場が毎日見る先行指標
5数え方と取り方を決める誰が見ても同じになる数字
6数字を入れて確かめる目標値と責任者

1. KGIを1つ決める

一番上に置く数字を1つだけ決めます。「売上を伸ばす」では測れないので、「今期の売上を〇〇円にする」のように、期限と数値を入れます。

同時に、その数字の数え方も決めます。売上なら、契約した時点で数えるのか、入金された時点で数えるのか。ここが人によって違うと、ツリーの下の数字をいくら合わせても、上の数字と合わなくなります。

2. KSFを選ぶ

KGIを達成するうえで、成否を分けそうな要因を書き出します。新しいお客さまを増やす、1回あたりの購入額を上げる、やめるお客さまを減らす、などです。書き出したら、今期いちばん結果を左右すると考えるものを1〜2つ選びます。

選ぶときは、自分たちで動かせるかどうかを見ます。景気や季節のように、手を打てない要因はKSFにしません。

3. 式で分解する

KGIを、掛け算か足し算で分けます。基本の形は次の2つです。

  • 掛け算で分ける:売上 = 客数 × 客単価
  • 足し算で分ける:売上 = 新規のお客さまの売上 + 既存のお客さまの売上

掛け算は「量 × 率」や「件数 × 単価」に分けるとき、足し算は「経路ごと」「商品ごと」「お客さまの種類ごと」に分けるときに使います。式で書けると、数字を入れて計算したときに親の数字と合うかを確かめられます。

4. 現場が動かせる数字まで下ろす

分けた数字を、さらに同じように分けていきます。止めどころは、「この数字は、担当者の今日の行動で動く」と言えるところです。

ここで出てくるのが、遅行指標と先行指標という考え方です。遅行指標は、結果としてあとから決まる数字(売上、契約数など)。先行指標は、結果より先に動き、結果を予告する数字(商談数、問い合わせ数など)です。ツリーは上が遅行指標、下に行くほど先行指標になるように並べます。月末にならないと分からない数字だけでは、途中で手を打てません。

5. 数字ごとに数え方と取り方を決める

ツリーに並べた数字の1つずつに、次の3つを決めておきます。

  • 数え方:「商談」は初回の打ち合わせだけを数えるのか、2回目以降も数えるのか
  • どこから取るか:顧客管理の表、会計ソフト、広告の管理画面など、正しい値がどこにあるか
  • いつ更新するか:毎日・毎週・毎月のどれで、何時までに入れるか

この3つが決まっていないと、同じ「商談数」でも人によって数字が変わり、会議のたびに「どの数字が正しいのか」の話から始まります。

図:KPIツリーの数字ごとに決める3つ。数え方(初回の打ち合わせだけか、2回目以降も数えるか)、どこから取るか(顧客管理の表・会計ソフト・広告の管理画面)、いつ更新するか(毎日・毎週・毎月のどれで、何時までに入れるか)。

6. 数字を入れて確かめ、目標値と責任者を置く

最後に、今の実績を入れて式が成り立つかを確かめます。掛け算と足し算で組んだ数字が、親の数字とほぼ合えば、分け方は正しいと考えられます。合わない場合は、単位のずれ(円と千円、人と件)か、同じ数字を2つの枝で数えていないかを疑います。

確かめたら、KGIの目標値から逆算して、下の数字それぞれに目標値を置きます。あわせて、それぞれの数字の責任者を1人決めます。

式でつながらない数字の置き方

「顧客満足度が上がると、継続率が上がる」のように、影響はするけれど式では書けない関係もあります。こうした数字を掛け算の枝に混ぜると、確かめ算ができなくなります。式でつながる枝とは分けて、「影響する関係」として印を付けて置くと、ツリーの計算を崩さずに追えます。

図:KPIツリーの数字の分け方は3つ。掛け算(売上=客数×客単価)、足し算(売上=新規の売上+既存の売上)、式でつながらないものは影響する関係として式の外に置く(顧客満足度が上がると継続率が上がる)。

KPIツリーの例(業種別)

ここからは、よくある形を業種ごとに示します。どれも説明用の架空の式で、実在の会社の数字ではありません。自分の事業に近いものを出発点にして、枝を足したり削ったりして使ってください。

売上の基本形

どの業種でも出発点になる形です。式で書くと「売上 = 客数 × 客単価」「客数 = 新規の客数 + 再購入の客数」で、客数は足し算、売上は掛け算で分けています。

売上
├─ 客数
│   ├─ 新規の客数
│   └─ 再来店・再購入の客数
└─ 客単価
    ├─ 1点あたりの単価
    └─ 1回あたりの購入点数

法人営業

商談から契約までの流れを、量と率で分けます。式は「受注金額 = 受注件数 × 平均受注単価」「受注件数 = 商談数 × 受注率」です。

受注金額
├─ 受注件数
│   ├─ 商談数
│   │   ├─ アポイント数
│   │   └─ アポイントから商談になった率
│   └─ 受注率
└─ 平均受注単価

担当者が日々動かせるのは、一番下のアポイント数や、商談で出す提案の中身です。KSFを「受注率を上げる」に置くなら、受注率の下を「提案まで進んだ率」「提案から受注した率」に分けて掘ります。

EC(ネット通販)

サイトに来た人が買うまでの流れで分けます。式は「売上 = 訪問数 × 購入率 × 1件あたりの購入額」です。

売上
├─ 購入件数
│   ├─ 訪問数
│   │   ├─ 広告からの訪問数
│   │   ├─ 検索からの訪問数
│   │   └─ メール・SNSからの訪問数
│   └─ 購入率
└─ 1件あたりの購入額

訪問数は経路ごとの足し算で分けます。同じ人が広告とメールの両方から来た場合に二重に数えないよう、どちらで数えるかを先に決めておきます。

SaaS(月額課金のサービス)

SaaSは、毎月入ってくる売上(MRR:月次の継続収益)をKGIに置くことが多い業種です。増える分と減る分を分けて見るのが特徴です。

今月末のMRR
├─ 先月末のMRR
├─ + 新規のMRR
│   ├─ 新規の契約社数
│   │   ├─ 無料トライアルの開始数
│   │   └─ トライアルから契約した率
│   └─ 1社あたりの月額
├─ + アップグレードによる増加分
└─ - 解約で減ったMRR
    ├─ 解約社数
    └─ 解約した会社の月額

式は「今月末のMRR = 先月末のMRR + 新規のMRR + アップグレードによる増加分 − 解約で減ったMRR」です。

解約数やコストのように、少ないほど良い数字は「目標」ではなく「上限」を決めて追います。SaaSでは、新規を増やすより解約を減らす方が売上が伸びる時期もあります。KSFをどちらに置くかで、深く掘る枝が変わります。

飲食店・小売店

席や時間の使い方で分けると、打ち手が見えやすくなります。式は「売上 = 卓数 × 卓の回転数 × 1組あたりの人数 × 客単価」です。

売上
├─ 客数
│   ├─ 卓数
│   ├─ 卓の回転数(1卓が1日に何組を迎えたか)
│   └─ 1組あたりの人数
└─ 客単価

卓数はすぐには変えられないので、日々の打ち手は卓の回転数と客単価に集まります。回転数を上げるなら料理を出すまでの時間や片付けの早さ、客単価なら追加の一品やセットの勧め方が、担当者の動かせる所です。

採用

売上以外の数字も、同じ考え方で分けられます。応募から入社までの各段階を「数 × 率」でつなぎます。

入社人数
├─ 内定承諾数
│   ├─ 内定数
│   │   ├─ 面接数
│   │   │   ├─ 応募数
│   │   │   └─ 書類を通過した率
│   │   └─ 面接から内定を出した率
│   └─ 内定を承諾した率
└─ 入社までに辞退しなかった率

式にすると「入社人数 = 応募数 × 書類を通過した率 × 面接から内定を出した率 × 内定を承諾した率 × 入社までに辞退しなかった率」です。どの率が低いかを見れば、応募を増やすべきか、面接の進め方を変えるべきかが分かります。

KPIツリー作りでよくある失敗

  • KGIをそのまま現場の目標にする。 「売上を上げよう」だけでは、担当者が今日何をすればよいかが分かりません。
  • 単位がそろっていない。円と千円、人と件が混ざると、確かめ算が合いません。
  • 同じ数字を2つの枝で数えている。経路ごとに分けたときによく起きます。
  • 式で書けない関係を掛け算の枝に入れている。影響の関係は分けて置きます。
  • 数え方を決めずに並べている。作った時は合っていても、担当が変わると数字の意味が変わります。
  • 細かく分けすぎる。誰も見ない数字が増えると、見るべき数字が埋もれます。下の段は、責任者がいて、動かせる数字だけで十分です。
  • 最初から完璧を目指す。作ってから1か月ほど数字を入れてみると、分け方の甘い所は自然に見えてきます。

KPIツリーのテンプレート(書き方の型)

KPIツリーは、どの業種でも次の型で書けます。上の段から順に埋め、埋まらない段があれば、そこが決めきれていない所です。

段書くこと書き方の例(架空)
KGI期限と数値のある最終の数字を1つ今期の売上
KSF勝負どころを言葉で既存のお客さまの継続を増やす
KPI(式)上の数字を掛け算・足し算で分けた数字売上 = 客数 × 客単価
KPI(現場)担当者が今週動かせる数字継続率、解約数
数え方数字ごとの定義・取り方・更新の時刻何を1件と数えるか

ひな形から始めたい場合は、上の業種別の例をそのまま書き写し、自分の事業に合わない枝を消すところから始めると早く形になります。EC・SaaS・飲食店・採用の4業種は、式の入ったExcelとAddnessのテンプレートを「KPIツリーのテンプレート」で無料で配っています。

作ったあとの運用

KPIツリーは、作って終わりにすると、すぐに数字が古くなります。数字を決まった時刻までに入れる仕組みと、目標から遅れている枝を見て打ち手を決める場を、作るのと同時に用意しておきます。見直しは、事業の状況が大きく変わったときと、KSFを入れ替えるときに行います。作ったあとの回し方は、KPIツリーの運用方法で詳しく説明しています。

AddnessのKPIツリーで作るやり方

Addnessは、チームとAIが同じ情報を共有して仕事を進めるワークスペースです。KPIツリーは、Focus以上のプランで使える機能です(ベータ版)。数字ひとつひとつの数え方と取り方を決めてから親子で並べるので、上の手順5まで含めて形にできます。

1. 画面を開く

「その他」→「その他の機能」の「アナリティクス」を開き、上部のタブから「KPIツリー」を選びます。タブは「ダッシュボード」「KPI定義一覧」「KPIツリー」の3つです。

2. 数字を「KPI定義」として作る

ツリーに並べる数字は、1つずつ「KPI定義」として作ります。KPI定義には、「数え方」「正はどこ(取得元)」「更新の契約(何時までに更新するか)」を決めます。上の手順5で決めた3つが、そのまま入る形です。

KPI定義の追加や変更は、ツールバーの「AIに依頼」から頼みます。できた依頼文を、自分のAIに渡します。たとえば次のように頼みます。

法人営業のKPIツリーを作りたい。KGIは今期の受注金額。受注金額 = 受注件数 × 平均受注単価、受注件数 = 商談数 × 受注率 で分けたい。それぞれのKPI定義を作って、数え方と取得元の案を出して。商談は初回の打ち合わせだけを数える

数字を集めて入れるのは、Claude CodeやCodexなどのMCP連携したAIエージェントです。AIが更新の契約に合わせて毎日の更新のルーティンを作り、取得元からデータを集めて数字を入れます。AIとのつなぎ方はAIエージェントとのMCP連携で説明しています。

3. 親子で並べ、関係を付ける

KPIツリーの画面では、最上段の見出し「経営」から、見出しやKPI定義をぶら下げていきます。並べ替えや付け替えはドラッグで行い、各ノードの「⋯」からも「上へ」「下へ」「親を変える…」「根にする」などができます。配置を「AIに依頼」で任せることもできます。

各ノードの「⋯」の「親との関係」では、親の数字との関係を選べます。親の数字が子から計算で出るときは「掛け算」「割り算」「足し算」「引き算」、影響はするが式ではないときは「相関」です。上で説明した「式でつながる枝」と「影響する関係」を、そのまま区別して置けます。

売上 ÷ 注文数のように、ほかの数字から計算で出せる数字は「式で出すKPI定義」にしておくと、参照先に新しい値が入るたびにAddnessが計算します。手で記録する必要はありません。

4. 目標と向きを決める

KPI定義には向きがあります。売上のように多いほど良い数字は「目標」「達成率」「目標ペース」、解約数やコストのように少ないほど良い数字は「上限」「上限比」「上限ペース」で表示されます。グラフには目標(上限)のラインと、月末の着地見込みが出るので、月の途中で遅れに気づけます。

5. ゴールに数字を結びつける

数字を動かすための仕事は、ゴールとして置きます。ゴールの行の「…」→「KPIを設定する」から既存のKPI定義を選び、必要なら目標値と期限月を入れます。結びつけたゴールの行にはリングが出て、値・目標・達成率・ペース(順調/遅れ気味など)が見えます。「受注率を上げる」というKSFをゴールにし、受注率のKPI定義を結びつけておけば、仕事と数字を同じ画面で追えます。ゴールの分け方はゴール・タスク・KPIの機能紹介にあります。

KPIツリー機能の画面はKPIツリーの機能紹介で、同じKPI定義をグラフで並べる方法はアナリティクスの機能紹介で見られます。

料金(2026年10月時点)

プラン月払い(1人あたり)年払い(1人あたり)KPIツリー
Starter$4.99月払いのみなし
Pro$19$190なし
Focus$39$390あり
Unlimited$69$690あり

料金は使う人の数で決まり、1人から使えます。Pro以上の月払いは7日間無料で試せます。くわしくは料金ページをご覧ください。

よくある質問

KPIツリーは何から作り始めればよいですか?

KGIを1つ、期限と数値と数え方まで決めるところからです。一番上の数字があいまいなままだと、下をいくら細かくしても合わなくなります。

KGI・KSF・KPIはどの順番で決めますか?

KGI → KSF → KPIの順です。最終的な数字を決め、成否を分ける要因を選び、その要因が進んでいるかを測る数字を置きます。

KDIとは何ですか?

KDI(Key Do Indicator)は、行動の量を測る数字です。電話をかけた件数や送った提案書の数などで、KPIツリーでは一番下の段に置かれることが多い数字です。

KPIはいくつくらいに絞ればよいですか?

決まった数はありません。目安は、責任者がいて、毎週見て手を打てる数までです。見ていない数字は、ツリーから外すか、見出しの下にまとめます。

式で分けられない数字はどうすればよいですか?

ツリーに入れてかまいません。ただし、掛け算や足し算の枝とは分けて「影響する関係」として置きます。AddnessのKPIツリーでは、「親との関係」で「相関」を選びます。

KPIツリーは表計算ソフトやスライドで作ってもよいですか?

作るだけなら十分です。ただ、数字を入れ直す手間がかかり、誰がいつ更新したかが残りにくくなります。チームで毎週見るなら、数字が自動で入る仕組みとあわせて使うと続けやすくなります。

次にやること

まずは自分の事業のKGIを1つ書き、上の業種別の例から近いものを選んで、2段目まで分けてみてください。Addnessで試す場合は、Addnessのはじめ方から始められます。KPIツリーの作り方や、AIに数字を集めさせる設定を一緒に進めたい場合は、無料の導入支援でご相談いただけます。AddnessそのものについてはAddnessとはにまとめています。

※この記事は2026年10月15日時点の情報です。Addnessは日々アップデートしているので、画面や手順が今と少し違うことがあります。

この記事を書いた人

アドネス株式会社 マーケティング 竹内翼

Addnessのマーケティング責任者。150人規模の会社で人事責任者も務めました。